"不協和世界"の世界観 ならびに 曲の紹介 Part 1
はじめに。
今まで"不協和世界"のCDを取ってくださった方々、
ダウンロード版(現在非公開)をDLしてくださった方々、
また、先日公開した『不協和世界の音楽博物館』にアクセスいただいた方々、
誠にありがとうございました。
唐突ですが、
今回はアルバムとして販売している「不協和世界」の世界観について、お話させていただきます。
『不協和世界の音楽博物館』の音楽に関しては、このCDのストーリーとは関係ございません。ご注意ください。
◆「或る國」と「彼の國」
不協和世界とは「或る國」と「彼の國」という2つの世界をまとめた総称です。
「或る國」は、文明の発達した、所謂ヒトが暮らす世界です。知恵と技術が文明を支えています。
知的・モダン・スタイリッシュ、がキーワードです。
ジャケット表紙の上半分のイラストが或る國の街並みを撮影(表現)したものです。
モデルとなった街はイギリスのロンドンです。ロンドンは夜の街並みが印象的ですね。
「文明が発達している=夜にも明かりが灯る」という思考から、イラストレーターのsachiさんにお願いして、夕暮れ刻の空模様をバックにした街のイラストにしていただきました。
完全な夜の街並みではないのは、これからさらに文明が発達する暗示の意味もあるのですが、
頒布済みの"不協和世界"ではその未来については語られていません。今後どうなるのでしょうか。
一方、「彼の國」は、或る國に比べて文明がまだ進んでいない、亜人(人外)が暮らす世界です。
自然との調和を大事にしながら活気・情熱にあふれた雰囲気を演出したい、という思いがあり、
バックは昼間の晴天、少し温かみのある角の取れたような輪郭の街のイラストに仕上げていただきました(ジャケット表紙の下半分のイラスト)。街の雰囲気は若干スペインのバルセロナを意識しています。
或る國と彼の國は、古代より伝わる神話で、交わることが決してない世界と伝えられています。この神話が真実ならば、この神話が残る以上、どちらかの國の誰かしらが過去にもう一方の國に行った可能性が非常に高いと考えられます。
◆或る國の少女「レフィーロ」
主人公の少女です。詳細は別途記載予定です。
◆彼の國の狼男「ルト」
少女レフィーロを助けようと奮闘します。詳細は 別途記載予定です。
◆神話(ミソロギア)上の「魔王と女帝」
魔王と女帝は、不協和世界が創造されてから、それぞれ永い間、或る國と彼の國を治めていたといわれる、國の(女)王です。二つの國には不思議なことに同じ神話が浸透しており、その神話に登場するキャラクターです。
◆アルバム中の物語のあらすじ
或る國の少女レフィーロが、街の外れにある濃霧のかかった森に誘われ、ふと気が付くと彼のいつのまにか「彼の國」の森へと迷い込んでしまいます。そこで出会ったのは狼男ルト。ルトは目の前に現れた、神話でしか見たことのない生き物、もう一つの世界に住むと言われるヒトの存在に驚きながらも、困った表情をしたレフィーロに手を差し伸べます。そこから、二人と神話を巻き込んだ物語が急速に展開します。具体的な物語の内容は、音楽とそのタイトルから各々感じ取っていただければ幸いです。
◆曲に込めた想い Part 1
以下、曲の解説となります。
Tr. 1 不協和世界 feat. a-m [ゴシック, 2ビート, フルオーケストラ, ボーカル曲, 物語のOP]
強烈な9連続8分音符の不協和音から始まります。このCDを手に取っていただいた方に、意地でもびっくりしてもらいたい、というわがままが生んだ旋律です。各和音の最高音をつないだ不可思議下降フレーズ(G→F#→D#→D→B→Bb→G→F#→F) は、他のトラックでも時折鳴り響きます。このフレーズは2つの世界を俯瞰する「神」の存在を匂わせる役割を担っています。
ボンドルドと化したPotwi「不協和世界の出だしのピアノの下降音形は不協和音の連続です。不協和音を連続で鳴らすことでむしろ不協和音単独の不快感を抹消するというのをコンセプトに、自分なりにしっくりくる不協和音を練ったんですよ。気持ち悪いですね。」 pic.twitter.com/04IfKGuRWm
— Potwi (@Potwi_UTM) 2020年1月29日
●不可思議フレーズ(G→F#→D#→D→B→Bb→G→F#→F)の織り込まれた曲
Tr 1 不協和世界
Tr 4 Foresight Dream
Tr 5 魔王と女帝のミソロギア
Tr 12 彼の貴紳狼のための夜想曲
また、この曲で出てくる英詞
"She saw that by a quirk of fate." (日本語訳:彼女は運命のイタズラでアレを見た。)
のメロディライン(A→E→E→F→E→D→D)も、他の曲で織り込みました。このフレーズは、レフィーロを森へ誘う蝶(神の御遣い)を象徴しています。
●英詞メロディフレーズ(A→E→E→F→E→D→D)の織り込まれた曲
Tr 1 不協和世界
Tr 11 Her Amnesia and Resurrection of Satan
ちなみに、"that"は、レフィーロが何度も予知夢の中で出会う人物、いわばルトのシルエットを指しています。ただ、予知夢の時点でレフィーロはルトのことを知る由もなく、しかも獣人であるルトは、ヒトとは異なるシルエットなので、1番では"that"という漠然とした印象にとどめています。
一方、2番では"She sought him by a quirk of fate."という歌詞に変わっています。これは、何度も予知夢を見ている(だんだん実際にルトと出逢う日が近づく)うちに、だんだんシルエットがはっきりしていったために、thatからhimへと歌詞が変化した、という意図があります。saw「見た」とsought「探した」の違いには、受動的→能動的行為への変化が組み込まれています。
さて、この曲は1曲目ということもあり、どんな曲調にすればこのアルバム全体の雰囲気を伝えられるだろうか、ということに悩みました。
・民族要素が欲しい
・これから始まる物語の壮大さが欲しい
・アニメのOPっぽい雰囲気も欲しい
・ファンタジーな雰囲気が欲しい
この4点をしようとカヴァーしようと導き出した結論が、ゴシックオーケストラでした。割とクラシックに引っ張られたゴシックな和声進行をすることで、若干気品のある感じを演出しつつ、オーケストラの音色を用いることで柔らかさを加えました。舞台のモチーフがヨーロッパ付近なので、インストにはオーケストラ楽器のほかにアコーディオンを混ぜて、ちょっと中世西欧感を盛り込みました。
この曲のボーカルを担当いただいたのが、a-mさん。以前BOFU2018というイベントでお世話になった女性ボーカルさんです。その時に初めて歌声を聞かせていただいたのですが、非常に正確な音程、発音でかつ、まっすぐ伸びやかなロングトーンがすごく素敵な印象を受けました。BOFU以来、また歌っていただきたいという気持ちがずっとあり、この度お声かけさせていただきました。彼女の裏声もまた透明感があってかつエモーショナルでして、"不協和世界"では、英詞部分にその魅力が露になっていると思います。
以下、「不協和世界」の歌詞です。
1A
或る國の
少女は独り
ふと思い起こす
知る人のいない1B
She saw that by a quirk of fate.
幻の過去を
ひとひら蝶は誘い
時は指し示す
或る世界と 彼の世界が
重なり合う その瞬間 願い1S
不協和に響く 鍵盤(ものがたり)に
指を触れる 運命の少女
鳴らす旋律に 咲く花を
待ち望む蝶は 胸躍る
2A
或る國の
少女は独り
ふと夢の中で
救いを求めた2B
She sought him by a quirk of fate.
朧な誰かに
ひとひら蝶は羽搏き
時は満ちていく
或る世界と 彼の世界が
巻き込まれる その瞬間 出逢った2S
不協和に響く 鍵盤(ものがたり)に
伸ばす腕の数は クワトロ
影に堕ちた 茨の花を
待ちわびた蝶は もてあそぶ
B'
(She saw that by a quirk of fate.)※コーラス①
(She sought him by a quirk of fate.)※コーラス②
朧な誰かよ
ひとひら蝶は飛び立ち
時が刻まれる
或る世界と 彼の世界が
重なり合う その瞬間 狂いS'
不協和に響く 鍵盤(ものがたり)は
白い紙に描く 即興曲(アンプロンプチュ)
浮かぶ旋律に 咲く花と
待ちわびた蝶は 協和する
1曲目の解説については、以上で終わります。
この調子で全楽曲書き続けられる自信がないので、短い紹介文で済む楽曲は端的にまとめて、なんとしても説明したい!という楽曲は細かくお伝えできたらいいなと思っております。
更新ペースはかなり遅いと思いますが、お付き合いいただけますと幸いです。